お知らせ

年末のご挨拶

謹啓

日頃よりつまみ細工一凛堂・(社)つまみ細工協会をご贔屓にしていただき誠に有難うございます。
今年も昨年に引き続きウイルスという目に見えない敵との戦いに翻弄されながらも、日本はこれと
冷静に向き合い、新しい年を迎える準備ができるまでになりました。

来年1月は早いもので前身のつまみ堂店主の逝去より4年の月日が経ちます。
晩年、自身の情熱の全てをかけてつまみ細工の伝統文化の保存に尽力された故人の意志に応える
ようにつまみ細工の世界も徐々に裾野を拡げていき、今では日本全国に愛好家の方達が増え、同時
にSNSをはじめ個人で発信できるインフラの発達と共に市場も大きくなってきました。
一凛堂・つまみ細工協会も「石の上にも3年」が過ぎ、来る2023年は更にしっかりとした基盤作り
に重点を置く第2章を迎えることになります。

今年は店舗を浅草橋から、アーティストが集まる「日本のブルックリン」とも呼ばれる蔵前に移し、
物販部門を株式会社化しました。
(社)つまみ細工協会では従来通り、つまみ細工の伝統工法を中心とした専門講座に加えて体験や
ワークショップなどを増やしてきました。
また新たに異業種との取り組みも積極的に行うことで、かんざしだけでないつまみ細工の新たな
市場作りにも挑戦してきました。
こうした新たな市場も含め、来年は更にたくさんの作家さんや職人さんとご一緒できるような環境
作りを行っていきたいと思います。

広く世界を見回した時、人工知能(AI)の発展などにより未来を便利にする開発は急速に進歩して
いますが、一方で古き良き文化の再考にも若い世代が関心を持つようにもなりました。
リバイバルという一過性の流行りという危うさもありますが、少なくとも人間は今以上に忙しく
することは物理的にも不可能だと考えており、より自然に・より人間らしくと言った価値観や
手仕事などを含めアナログの魅力も見直されていくものと信じています。

一凛堂のつまみ細工のベースは東京都の伝統工芸に指定されている「江戸つまみかんざし」です。
江戸文化の特徴として、京都の朝廷より華美な物を禁止された時代に職人達が考え編み出した
「江戸小紋」や“控えることで対象を際立たせる”「間引きの文化」などがあります。
小粋・小綺麗・小気味いいなどと言った江戸の美意識はそのままつまみ細工の世界観としても
残されており、これは物作りだけに限ったことではなく表現方法や姿勢・立ち居振る舞いなど
と言ったライフスタイル全般に通ずるものです。

つまみ細工協会の講座も、技量だけでなく段取りから所作、表面に出ない丁寧さや無駄な動きを
省くことなどを含めた「スタイル/世界観」の伝承を目的にしています。
一方でつまみ細工専門店・一凛堂としては改めて伝統工芸の持つ意味や、これを後世に遺し伝え
ていく意義を、次代を担う子供達や若い方達にも分かりやすく、もっと普通なものとして繋いで
いくことをコンセプトとして今後も活動して参りたいと思います。

改めまして設立当初からの企業理念である「つまみ細工をメジャーなカルチャーにする」ことを
実現するためのコンセプトとして「つまみ細工をもっと普通に」を掲げ、世界に自慢できる繊細で
美しいつまみ細工を伝統美だけに拘らず様々な方法で発信し続けていきたいと思います。

皆様におかれましては、来る2023年が素晴らしい年でありますよう心よりお祈り申しあげます。
来年もつまみ細工一凛堂・つまみ細工協会をどうぞよろしくお願い申し上げます。

追伸:
年始にはお正月の顔でもある大手企業のTVCMに一凛堂の髪飾りが使われ放送されます。
更に今回は主役の女優さん自ら単にデザインだけでなく世界観を評価した上でご指名をいただいた
ことは大変名誉なことと喜んでおります。
おめでたい年の始まりにつまみ細工が全国のお茶の間の皆様の目に触れることとなります。
「つまみ細工」が全国の方の目に触れることを関係者だけでなく全ての愛好家の皆さんと一緒に
喜べますことを願っております。

 

謹白
令和四年暮
つまみ細工一凛堂
代表 鴨下正次郎

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