毎年7月3日は「つまみ細工の日」
7月3日は「つまみ細工の日」
2016年(平成28年)、一凛堂の前身である「つまみ堂」の創業者である故・高橋正侑氏の発案により、つまみ細工の伝統文化の継承と発展を願い、浅草神社の宮司様(当時:禰宜)が後見となり、毎年7月3日を「つまみ細工の日」と制定しました。
「7」をピンセットに、「3」を丸つまみの花弁に見立て、同時に2014年に浅草神社で始まった「夏詣」という祭りの開催時期(7月の第1週)と重なるようにという背景がありました。
その後、2019年に惜しくもつまみ堂創業者が他界し、2019年7月より「つまみ細工一凛堂」として再スタートを切りましたが、当時の関係者の皆様と浅草神社様のご厚意により、その後も「つまみ細工の日」を継続しており、今年で9回目を迎えることとなりました。
つまみ細工は現在では七五三や成人式の髪飾りとして知られていますが、元々は広く女性の装飾品として様々なものが作られてきました。
伝統工芸が継承されていくためには作り手だけでなく、材料や古い文献などが残されていることが大切です。しかし、つまみ細工(つまみかんざし)に関しては、布でできていることなどが原因で、特に昭和初期の災害や戦禍により、圧倒的に残されるべき文献が少ないというハンディキャップを持っています。
加えて、生活スタイルの変遷により着物を着る人も機会も減ってきているだけでなく少子化により、つまみ細工を身に付ける子供の数が減り、職人の仕事が減ることで後継者も育たないという悪循環に陥っています。
こうしたことから、旧・つまみ堂創業者らは、職人を育てて残すことだけに拘らない新しい形での「未来のつまみ細工の作り手」を育成するために、現役の職人の力を借り、つまみ細工作りを知ってもらうための講座(お教室)事業をはじめました。
旧・つまみ堂時代には、現役江戸つまみかんざし職人で最長老である穂積実氏の技法をベースにした「伝統的なつまみかんざし」のDVDを制作・販売し、その後は親子二代にわたって荒川区の無形文化財保持者である江戸つまみかんざし職人・戸村絹代氏の技法を学ぶ講座を行なってきました。
その後、2016年にはじめての講座の卒業生とも呼べる8名の方に「認定講師」という肩書を持っていただき、この方々と一緒に、つまみ細工(つまみかんざし)の伝統文化を正しく伝えていく活動を広めていこうということの象徴として「つまみ細工の日」が制定されました。
初代の8名の方々は現在でも日本各地でそれぞれ独立して、つまみ細工のお教室や普及活動・作家活動を行なっていますが、今年も各地で「つまみ細工の日」を盛り上げてくださっています。
旧・つまみ堂創業者が思い描いた通り、「未来のつまみ細工の作り手」が増えてくることで「未来に残るつまみ細工」の新しい形が創出され、着物を着た時だけに拘らないことで、次世代にもつまみ細工が残っていくことが私たちの望みでもあります。
つまみ細工一凛堂
店主
追伸
2018年3月11日、ベトナム・ホーチミン市にて、ホーチミン市主催の日越友好イベントが開催されました。
その際、つまみ細工とアオザイのコラボショー並びにベトナム人の方向けのワークショップを行いました。
お写真は【中央左】ベトナムのアオザイデザインの第一人者シーホアン氏と【中央右】旧つまみ堂創業者 高橋正侑氏(故)